駅前の飯屋でも行くかな。
そんな事を考えながら俺は足を進めた。


“私っ、惚れたの、あの時なんです!
仲間が…哲さんを刺した時なの!!”


…ふっと、その時の傷を俺は見る。
右手にある、その傷痕。


麻美があの日、何で光の子と揉めてたのかは知らない。
理由なんか、どうだっていい。

きっと、それは花蓮や光とかのレディースにしかわからない事情。
俺には理解すら出来ないだろう。


麻美と、佐緒里ちゃんと、琴子ちゃん。
その三人が光の子、三人に囲まれていた。

遠くでそれを見つけた俺は出るか、どうか迷っていた。
さっきも言った通り、それはレディースの事情。


終わるまで口出しするか、悩んでいたんだ。

だけど、光の一人がナイフを出したから。
それを見たら勝手に足が前へと進んだ。


麻美を守りたい。
麻美を助けなきゃ。
ただ、その一心で俺は麻美の元へ走ったんだ。


何も考えずに、俺は手だけを出した。
もっと早くに気付いて麻美の元へ走ってたら、手でなく体を刺されていたかもしれない。