それから、俺は朱美ちゃんの後ろに乗ると朱美ちゃんの家まで先に向かった。
俺が運転してないし、送るって言い方もおかしいような気がするけど、朱美ちゃんを送って。

朱美ちゃんの家に到着すると、

「楽しかったーー」

俺にそう、笑顔を向ける。


「それはよかった」

「今日は本当にありがと」

「いえいえ。俺こそ、みっともないとこ見せちゃってごめん」


本当に、大の男が涙ボロボロ流しちゃったりして。
朱美ちゃんには頭が上がらない。


「全然だって。また遊ぼうよ」

「うん、もちろん。俺でよければ喜んで」

「…じゃ、また!」


朱美ちゃんは踵を返して、自宅アパートへと向かう朱美ちゃんを俺は見送る。
階段まで歩いた時、朱美ちゃんはぴたりと立ち止まった。

それに首を傾げる俺。


朱美ちゃんは後ろを振り返ると、

「……ありがと」

かろうじて聞こえる声でそう言った。



「え」

「…佐緒里と信司の事」

「…………」

「久々にあんなすっげえ笑った佐緒里の顔見た。
哲さんのお陰なんだろ?」

「いや、俺が何かしたわけじゃ…」


俺は否定しようとするが、すぐに朱美ちゃんが言葉を被せて来た。