帰ってきた私たちは、ものすごく怒られた。


「めっちゃ怒られたね…」
「うん。でも、しょうがないね。」
「あのさ、陽姫…話したいことがあるんだけど。」
「…なに?」
「最近、夜に月を見てると…もうすぐお迎えにあがります。って声が聞こえるんだ。」
「え?月姫も?」
「え?陽姫もなの?」
「うん。この前、眩しいなーって太陽見てたら急に、声が月姫と同じ風に聞こえたの。」
「どういうことなんだろ?」
「迎えに…って。」
「でも、最近感じるの。月から迎えが来るんだって。」
「私も…太陽から…」
「紋章が関係してるのかな?」
「きっとね。」

「うーん…そうだ!陽姫、さっきのところに行かない?」
「私も今言おうと思った!ちょっと危ないかもしれないけど。」
「また、誘拐されるかもだけど。」
「また、怒られるかもだけど。」
「「行こう!何か分かるかも!」」

さっき誘拐された時に行った場所…
あの時、強く感じた。
声がはっきりと聞こえた。
きっと、答えが見つかるはず…!


次の朝、はやくに私たちはあの場所に向かった。


着いた…
この前は夕方だったけど、朝も綺麗。
見事に、月と太陽が見える。

“姫様…”

声が…!
陽姫…!
「月姫…聞こえる?」
「うん…」

“次の15日、お迎えにあがります。”

次の15日って…!
「待って!どこに帰るの?」

“もう、お気づきになっているはずです。
月と、太陽です。”

「私が月で…」
「私が太陽…」

“はい。その証に、お2人の首に紋章があるはずです。”

「どうして、月と太陽なの?」

“昔…月と太陽は、1つでした。ですが、隕石衝突により、2つにわかれました。その時住んでいた者も2つにわかれ、別々に住むようになりました。言わば、月と太陽は双子なのです。
そして、同じ時に生まれた姫様方がきちんとした姫様になるために人間界に送られた、というわけです。”

「「…」」

“思い出されましたか。”

「でも!私は帰りたくありません!」
「私も!」

“それは、許されないことです。”

「お願い!私はこの世界が好きなの!」

“もう、決まっていることです。”

そんな…そんな…
青葉…

“お2人も、気づいているはずです。姫様方に特殊能力があることを。”

そう…私たちは、特殊能力を持ってる。
私の能力は、治癒能力と植物能力。
陽姫は、氷結能力と虜能力。

能力の説明をすると…
治癒能力は、怪我を治すもの。手をかざすと発動する。
植物能力は、植物を自由に操れるもの。植物に触れると発動する。
氷結能力は、いろんなものを凍らせるもの。手をかざすと発動する。
虜能力は、人を虜にする能力。ウインクすると発動する。

“代々、王家に伝わる血を受け継いでいるからです。いいですか、姫様方は必ず帰らなければなりません。それは、変えることのできない運命なのです。”

「変えられない運命…」

“それでは…次の15日に…”

「「ま、待って‼︎」」

……

「陽姫…やだよ…私、ここにいたい。」
「私もだよ。」
「でも、もう叶わないんだね。」
「うん…」
「あと、5日だね…」
「うん…」

それまで、私には何が出来るだろう。

この世界にいられないなら、もう死ぬのと同じだよ…


あと5日で
死ぬなら、私は…