私は月姫。みんなには、かぐや姫って言われてる。


「おじい様…?」
「おお、月姫か。実は、お前に会わせたいやつがいるんだが…」
「嫌です!」
「月姫…そろそろ、いい歳だろう。婚姻を結ばなければ。」
「婚姻を結ぶ人は、私が決めますっ!」


はあ…っ…
飛び出して来てしまった…


「青葉様って、素敵よねー」
「ええ。みんなに優しいもの。」
…青葉様?通り過ぎた女達が口にしていた。
誰、その人。


ってか!
婚姻なんて結びたくない!って、いつも言ってるのに…
おじい様は…
それに、私は美人でもないのに、
婚姻をせまってくる人が多い。
……

「うわぁ…」
すごい…
歩いてたら、知らない所に出た。
そこは、月の光が水面に映る、静かな場所だった。

めっちゃいい所見つけちゃったー!
ここは、私の秘密の場所にしようっと。

ガサ…ガサ

…え?…え⁉︎
な、何⁉︎

「誰?」

「私は、月姫…。」

「へえ、俺は、青葉。」

「青葉⁉︎」

「え、何?」

「えっと…いえ、別に。」

「何でここに?」

「歩いてたら、着いたの。というか…私の事、知らないの?」

「知らないけど…?」

驚いた…
私は一応、美人って有名らしいのに…

人に顔を見せたりしないから、美人ってなってて、
婚姻をせまってくる人が多いってわけ。
誰が美人だなんて言ったのか分からないけれど。

あれ?そしたら、やばくない?
顔、見せてるし…
名前、言ってしまった!

あー…でも、かぐや姫って言われてるから、バレないかも!
本当の名前は、おばあ様と、おじい様にしか呼ばれていない名。

「あの…」
「あ、ごめんなさい…なんでしょう?」
「姫…なんだろ?よく出て来れたな。」
「ああ…それは、昔に隠れ通路を見つけたの。私と…私の双子の姉との秘密の通路。」
「へえ。」
「はっ!いけない!そろそろ、戻らないと…心配かけちゃう…」
「また、来れば?いるから。」
青葉って…やっぱり女達が言っていた人なのね…

むか。

「よく、そんな軽々しく言えますね?
他の人にも、言っているんでしょう?あなたに会いになんて来ませんから!さよなら!」

全く…
なんなの、あの人?
軽々しい人って嫌い!

って。何イライラしてるの?
あんな人、どうでもいいじゃない。



「月姫…!」
「おばあ様。ごめんなさい。」
「いいのよ。使いの者があなたを探しに行きましたが、もうすぐ帰ってくるでしょう。」
「はい…。」
「月姫…あなたの気持ちもよく分かりません。ですが、じいさんの気持ちも分かってあげて欲しいのです。」
「はい…。」
「1度、会って下さい。会わないまま、婚姻をお断りするのは失礼ですから。」
「分かりました。」
「もう、今日はお休みなさい。」


「月姫ー!」
「陽姫!」
「月姫、昨日抜け出したらしいね?」
「おじい様が、うるさくて…」
「私もよ…」
陽姫とは、私の双子の姉で、とっても仲が良い。
でも、私とは違って本当に美人。
双子なのに、こんなに違うもんかね…

「あの通路、使ったの?」
「うん。あの通路使わないと、出れないよ。」

「月姫様ー!陽姫様ー!探しましたよ!
何をなさっているのです⁉︎お琴はどうなされたのですか?」
「「あー!」」
「全く、忘れていたのですね?本当にあなた方は…後で、私の部屋にお越し下さい。」
「「はーい…」」

「じいやの部屋に行きたくない!どうせ説教されるー」
「やだなー…」
「はあー…でも、しょうがないね…」


その後、じいやの説教は2時間に及んだのであった…