四つ葉のクローバー 幸福は誰の手に



奏「絢ちゃん?こっちは寝室…ι」


絢「そーですよ?睡眠不足はお肌の天敵ですよ~
…ったく、下手なくせに珍しく化粧してると思ったら。俺があげた化粧道具は目の下の隈を隠すためにあげたんじゃないんだぞ?」


奏「うにゃ~…ιι」


絢乃の寝室のベッドに下ろされ奏は彼に頭をグリグリとされ唸った。


孝「………寝てないの?」


ベッドの下に座り顔を奏の横に置いて心配そうに彼女を見る孝臣。


奏「………全く、じゃないの。ただ、眠りが浅くて……絢ちゃん、臣くんごめんね?」


申し訳なさそうに眉を下げる。


絢「いーから寝てなさい。1、2時間は寝かしといてやる。起きたら何か一緒に作って食おうぜ。」


奏「…う…ん…」


僅かに頷き、奏はそのまま眠ってしまった。その顔はあまり穏やかとは言えなかった。


絢「…………で?言い訳は?」


孝「……正直、三人だと奏の周りをガードしきれない。とはいえ、犯人を捕まえる為にも元々、少し甘いガードでもある。今回の犯人、結構えげつないよ。自分が直接手を出さないようにしてる。出す前に馬鹿な人間が奏を襲ってるんだ。」


奏が眠るとお互い顔を見ずに淡々とした口調で話す二人。


しかしそれはお互いに理不尽な怒りを相手にぶつけないためだ。孝臣は見えない黒幕に。絢乃は傍にいられない自分自身に怒りを感じている。


奏が傍にいればそんなもの感じることが無いのに、こうして少しでも離れてしまうとすぐに精神が不安定になってしまう。


絢「カナが、こんなにカナがボロボロなのに、手をこまねいているしかないのかよ、俺達は!」


孝「奏も眠れなくなってきたならそろそろ限界だよね。勿論、俺達の我慢も限界なんてとっくに越えちゃってるし、明日にでも今までの記録を全校生徒の前で見せてやろうか。智也も春も下手したら犯罪起こしそう。」


絢「アイツは?何か言ってんの?」


孝「ん、アイツって伸さん?毎日電話はしてるって神崎が言ってたけど。」


アイツでわかる辺り流石、幼馴染み。


絢「……チッ……なぁ、そういや何で俺んとこにアイツの手紙来たのか知ってるか?アイツ、中身見たら顔が険しくなって…」


孝「絢乃は聞いてないんだ?」


絢「オミは?聞いてんの?」


孝「一応。でも、聞かないで。あまり気持ちのいい内容でもないから。」


珍しく孝臣が言い淀む。それに絢乃は眉を寄せるが逆にそれだけ言いにくいことなのだと想像に固くない。