しかし、その元凶を未だ見付けられず、一週間が経った今日、外に出れない絢乃が幼馴染みズに連絡を入れた。


曰く、奏の状況を知りたいから奏本人がここに会いに来いと。


実は奏はこれに対しメチャクチャ拒否した。


というのも彼女の幼馴染み達は彼女が怪我をすることに嫌な顔をする。


そして一番嫌がるのが絢乃なのだ。


『女の子が怪我なんてすんな!』


前に奏が不注意で怪我をしたとき絢乃が言った台詞である。


その時の絢乃は物凄い形相で怒鳴った為、奏は軽くトラウマだ。


そして彼らは自分の事のように痛そうな顔をする。それが奏には一番堪えるのだ。


奏「……皆も怪我をさせるなら見えないところにしてほしいんだけどね。」


絢「ざけんな。見えようが見えまいが怪我させる時点で間違ってんだろ。お前も何諦めてんだ。」


ハァと重苦しい奏のため息を更に重たいため息が重なり、そちらを見るとティーポットとカップをお盆に乗せた絢乃が呆れてた。


奏「わ、わぁ絢ちゃん良い香りね?今日は何のお茶っ葉?ιι」


絢「今日はアールグレイのミルクティーで御座います。さて、お嬢様?私の話を逸らさないで戴けますかな?」


奏「………ιιιι」


ニーッコリと執事風に笑う絢乃はとーっても怖い。どうやら今日は誤魔化してはいけないようだ。


孝「絢、奏の事苛めないでよね。」


絢乃の後ろからお茶請けを持ってきた孝臣は絢乃の雰囲気にやれやれと頭を振る。


孝「はい、奏。あーん…」


奏「うぇっ?あ、うん。あーん…」


奏の口にお菓子を運ぶ孝臣に驚きつつも素直に口を開ける奏。


絢「苛めてまっせーん。それより腕の怪我、酷いのか?」


普段から奏は誰かに何かを食べさせてもらう事は多く、これは見慣れた光景であるが基本は自分で何でもやる。


それなのに今日は素直にすぐに食べさせられているから絢乃は腕が痛いせいかと思ったのだ。