あれから智也達が監視カメラを仕掛けて一週間が経った。
なので報告を兼ねてアイドルになってから一人暮らしをしている絢乃のマンションに奏、孝臣はやって来た。
絢「………………………」
奏「…………………ιι」
孝「…………ふわぁ……」
扉を開けた瞬間迄は笑顔を浮かべていた絢乃は奏の姿を確認したら突然無表情になってしまい現在、玄関にて重たい沈黙を続けている。
と言っても、それは奏と絢乃だけで孝臣はさして興味無さそうに欠伸をしているが。
奏「あ、あの~…絢ちゃん?ι」
恐る恐る声を掛けると絢乃は奏の腕を突然掴んだ。
奏「Σイッ…ι」
絢「………ここも、怪我してんの?」
低い声が鼓膜を揺らす。これは完全に怒っていた。
奏「あ、絢ちゃん?放してくれる?ιその、結構痛いの。ι」
困った顔でそう言うと絢乃はハッとして手を放した。
絢「わ、悪いカナ!つか、ボロボロだな。予想外過ぎて驚いた。とにかく入れ。」
慌てて謝り、中に二人を招くと絢乃はキッチンに向かいお茶の用意をする。
奏「絢ちゃん手伝う?」
絢「いいって!これでも自炊はちゃんとやってんの。つか、怪我人は大人しく座ってなさい!」
孝「絢乃、お茶請けもよろしく。」
絢「お前はこっち来て手伝んなさい。オミが一番食うんだからな。」
絢乃に言われ渋々彼についていく孝臣。
それを見送り奏はため息を吐く。
やはり来なければ良かったかなと。
あれから一週間。嫌がらせは収まるどころか、ますます激しさを増していってしまった。
というのも、奏が嫌がらせに表面上、全くもって堪えていないためだろう。
とはいえ、逆に奏が辛く感じていたとしたらそれすらも彼らを喜ばせる材料になっていることは予想にかたくない。
つまりどちらに転んでも嫌がらせの元凶を叩かない限りは意味がないのだ。