四つ葉のクローバー 幸福は誰の手に



春「あ~、とにかく外に出るか。目立ってるぞ?」


そう言われ慌てて周りを見ると、カフェにいるお客さん達が好奇の目で見ていた。


「何あれ多重関係?」


「男の子達格好いい!!///」


「あの子も可愛いわね。でもこれって修羅場?可愛いくせに浮気かしら?」


春「あ~違うよオネーサマ達。俺らは全員幼馴染みなんだよ~」


好き勝手な言葉に苦笑しながら春くんが誤解を解く。


それから改めて外に出て事情を説明する。


奏「…というわけで、一緒に出掛けようって話だったの。」


春「あ~あの絢之の写真か。いくら貰ったの?」


春くんはどれどれ~と封筒を覗き、おぉっ!!と声を上げた。


春「結構入ってんな!なぁなぁこれ使って遊びに行かない?」


智「あのなぁ春、これは奏が貰ったもんだろ。それをなんの躊躇なく使う気かアホ。」


奏「あ、良いよ!それは高校生が持つには高すぎるもの。皆で使おうよ!その方がずっと楽しいわ!あっ、ねぇ?だったら久し振りに皆で遊園地に行かない?」


絢「遊園地か、そらまた懐かしいなぁ!よっしゃ、行くか!!」


ほら、と手を取られ歩き出す絢ちゃんに私も一緒に進む。


奏「うぇっ!?ι絢ちゃん何で手を繋ぐのー!?ι」


絢「いーじゃんいーじゃん♪ガキの頃以来だよなカナと手を繋ぐのなんて♪」


楽しそうに繋いだ手をブンブン振る絢ちゃんに諦めて私も笑う。


すると後ろの三人も付いてきて臣くんは空いているもう片方の手を。春くんは後ろから歩くのに支障の無いくらいに抱き付いて、それを智くんがやれやれというように頭を振るもやはり苦笑を浮かべながら歩き出す。


その時、私達は誰も気付かなかった。私と絢ちゃんがカフェに入ったときから見詰めていた存在が居たことを。会話を聞かれていなくても親しげな様子が周りにどう見られていたのかも。


私達は何一つ、気付かなかった。