智也の家にお泊まり会をしてから数日が過ぎた。


奏「じゃあたまちゃん、行ってくるね!」


た「今日も行くの?付いていこうか?」


たまえの申し出に首を振る。


奏「いいよ。せっかく今日は授業が早く終わったんだからたまちゃんだって他に予定あるでしょ?」


ここはカラビア学園。その寮の一室にて二人の少女達が制服から私服に着替えていた。


た「大丈夫よ?大した予定無いし付き合うわ。」


奏「そう?じゃあ行こっか!」


奏はカメラを持ってドアの所でたまえの用意が出来るのを待つ。


それから二人で寮を出ると、孝臣と千尋が手を振って待っていた。


奏「あれ?臣くんにちーちゃん?」


た「アンタ達も付いていくつもり?」


千「まーね。どーせ暇だし。」


孝「あそこのクレープ、美味しかった、から。」


いつもの場所で同じメンバーで変わらない会話。しかし最近、変わったことがある。


奏「そんなに毎回、一緒に来なくてもいいのに。」


奏の苦笑交じりの呟きにたまえが彼女の頭に手をおく。


た「一人は寂しいじゃない?特に会える確証のない人を待っている時なんかは、さ。」


奏「ん、ありがと皆。」


例の件、つまり『海堂 伸』の事をはっきりさせるべく、あれから奏は暇さえあれば駅前で写真を撮りながら。マンションの近くでクローバーを探しながら彼を待っている。


しかしタイミングが悪いのか、彼が避けているのか、はたまた全くの検討違いの場所で待っているからなのか未だに彼には会えない。


そして今日も懲りずに授業が早く終わったため行こうとしているのだ。