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二人が智也の部屋に入ると奏はたまえの腕に抱き付き、遠慮がちに彼女を呼ぶ。
奏「あの、たまちゃん。」
た「ん?」
奏「気に、なるよね?私達が話していた”海堂 伸“って人の事。」
た「……気にならない訳じゃ無いよ。でもアンタが話したくなったときで私は良いの。あんまりいい話じゃあ無さそうだし無理しなくても大丈夫よ?」
奏の緊張が伝わりゆっくり諭すようにたまえは言うが奏は首を振る。
奏「たまちゃんには話しておきたいんだ。大切な親友だし、仲間だと思ってるから。」
ぎゅっとたまえの手を握り、弱々しく笑う奏にたまえは無言で抱き締め頷く。
た「…分かった。聞くよ。奏、ゆっくりでいいから私に教えて?貴女が抱えているそれを。」
奏は頷き、ゆっくり口を開いた。
話は12年前に遡る。
ザワザワと大人達がある家に出入りを繰り返す。
皆、着ているものは黒い服で一見して喪服だと分かる。
大人達と離れそれを眺める五人の子供。
孝『かなで、お家にいなくて、いいの?』
奏『臣くん達のお母さんがお外で皆と遊んでてって。パパもママも起きないからかなで、つまんない!』
ぷくっと頬を膨らませた少女の隣で頭で腕を組む少年は呆れたようにため息をつく。


