奏「……育ての親が、ね。ここ以外を許してくれなかったんだよね。ほら、ここ以外の寮のある学校って近くに無いでしょ?」
た「え、確かにそうだけど…アンタ自分の進路を親に言われて決めたの?」
奏「“育ての”、ね。多分、あの時は彼も自分の夢を追いたくて、でも私が居たらそれも出来なかったから寮のあるこの学園に進めたんだと思う。」
それは先程見ていた夢の内容。あれは2年前のやり取りで自然と表情は暗くなる。
た「あ、ごめん。なんか地雷だったかな?ιι」
私の様子にたまちゃんは申し訳なさそう謝るので慌てて首を振る。
奏「だ、大丈夫!私はもう気にしてない事だから…」
「奏」
ふわりと自分の身体が何かに包まれたと思った瞬間に教室内はキャーッと黄色い歓声が上がった。
奏「Σちょっ、臣くん!?///ιι」
それにより自身を包む存在の正体に瞬時に気付き、奏は逃げようと身を捩る。
「奏、動かないで。」
しかし、そんな奏を更に後ろからギュッと抱き締め首に顔を埋める気配がした。
奏「お、臣くん擽ったい///」
プルプル震える奏に不思議そうに顔を上げると彼女を抱き締めていたその者にたまえが頭にチョップした。
「あたっ。何、すんの?神崎。」
た「何じゃなーい!アンタはまた勝手に私の奏にくっついて!」
「? 神崎のじゃ、無いよ?」
「まぁまぁお二人さん、一先ず奏が可哀想だからそろそろ放してあげたら?」
睨み合う(ただし、一方的に)両者の間に更に第三者が現れ、奏を抱き締めていた腕は名残惜しそうに離れ、たまえも席にちゃんと座る。
そうしてやっと奏は後ろを振り返れた。
奏「もう、臣くん!?毎回抱き締めないでよ!!恥ずかしいんだから!///
それといつも有難うちーちゃん。」
「いえいえ~僕は孝臣の世話係だからね。彼と同室になった時点で諦めたよ。」
ニコニコと私の頭を撫でる眼鏡を掛けた少年は宮下 千尋(チヒロ)。通称ちーちゃん。
そして私を抱き締めていたのはちーちゃんとは対称的に無表情の赤木 孝臣(タカオミ)。通称臣くん!
二人とも学園の一、二を誇るイケメンでちーちゃんは去年、ミスターコンテストで優勝していた。
臣くんも実は接戦だったのだが、本人が辞退したため二位なのだ。
臣くん曰く、眠たくてさっさとステージから降りたかったらしい。


