ドキドキと忙しなく動く心臓に手を当てて文句を言いながら振り返るとドアの所で驚いたように固まっている奏の姿があった。
た「奏!!」
春・絢・孝・千「Σ!?ιι」
奏「あの、た、ただいま?」
恐る恐る挨拶する奏にたまえは近付き頭を撫でる。
た「お帰り♪遅かったじゃない。Σって、手泥だらけじゃん!ほら、手ぇ洗っておいでよ♪」
くいくいっと背中を押して洗面所に向かわせると奏は素直に頷いた。
奏「う、うん。あのたまちゃん?」
た「ん?」
奏「ありがとう。」
た「ん。」
微笑む奏の頭をもう一度撫で頷くたまえ。
ちゃんと言葉にしなくても奏にはたまえの優しさが伝わるし、たまえも彼女にただ質問するではなくいつも通りに接し、彼女自身が話すのを待つつもりだ。
そして、洗面所に入ったのと同時に入れ代わるように智也が部屋に入ってきた。
千「智也、お帰り。……どうだった?」
入ってきた智也に笑い掛けるもどこか緊張したように質問する千尋。
智「…………やはりあのマンションには居なかったようだ。奏の決意を尊重し俺はマンションまで一緒に行ってやらなかったが、管理人の話では伸さんはマンションには来ていないらしい。」
孝「管理人さん、グルなんじゃないの?」
孝臣は智也の話に眉を寄せ、智也もそれに頷く。


