絢之side
孝「それで?これは一体どうゆうことなの?」
カナが見えなくなって不機嫌そうにオミが振り返り、後ろにいた人物に問う。
かくゆう俺も対して変わらない顔をしているだろう。
絢「……まぁ、今カナに自分の存在を知らせなかったのは誉めてやんよ。いや、出来る訳無いか。だってテメェはカナを捨てたんだからな!!伸さんよぉ!」
それに目の前の男、伸さんはハッと鼻で笑う。
伸「お前らは相変わらず奏の傍に居るんだな。幼馴染みじゃあ無くてストーカーかよ。」
絢「んだとゴラァ!!」
ガッと奴の胸ぐらを掴むとすかさずオミが俺を止める。
孝「絢之、落ち着いて。腹立つのは分かるけど、奏が待ってる。絢之が顔を傷付けたら何があったって聞かれるよ?」
絢「…っ…くそったれ…!!」
苦虫を噛み潰す心境で伸さんから手を放す。
伸「ふん、孝臣は大人になったじゃないか。絢之、お前一応芸能人だろうが。気を付けろよな。見た目がそりゃ違っていようが気付く奴は気付くぜ?ほら、今だって何人かこっちをチラチラ見てる。皆、お前があの「“AYANO”」に似ているって思っているだろうよ。」
絢「ふん、人目があろうが俺はテメェをぶん殴ってやりたい所だけどな、奏が待ってる。アンタじゃあ無く、俺達をな!」
ハンッと鼻で笑い俺は踵を返す。大人気ないと言われようが知ったこっちゃねぇ!俺達は正真正銘まだガキなのだから。
孝「絢、ちょっと、待って。」
絢「ソイツと話したいなら俺はそっちで待ってる。」
悪いが今は1秒もこいつの姿を視界に入れたくない。
それが分かっていたのか、オミは軽くため息を溢して通りの向こうにある店を指差す。
孝「なら、あれ買ってきて。あのクレープ。」
絢「おお、味は何でもいいのか?」
孝「チョコ系なら何でもいい。高いやつね。」
絢「うわ、人の金だと思って。」
孝「否定はしない。お願いね。」
それにヒラヒラと手を振り俺はソコから離れた。


