た「……ミナト、って誰?」
千「わからない。けど、智也が何かを知っている。僕らも行こうかたまえ。」
それに頷き部屋を出ていこうとして、ふと気付く。
千「そーいや何で桜野くんは気絶してんの?」
た「あ~…詳しくはわかんないけど、私達がここに飛び込んだ時に丁度さ奏が彼に頭突き喰らわしてたの。その時の奏は両手をネクタイで縛られて服も乱れてたから私がプチっとキレまして。気付いたらコイツの腹を蹴り飛ばしてた。」
『アハッ★』と笑うと桜野の首根っこを掴み引き摺る。
千「重くない?」
た「へーきへーき。私、力持ちだし。ここで何をしていたか洗いざらい吐かせなくちゃね。」
桜野を引き摺りながら廊下を進むと奥から絢之と伸が歩いてきた。
た「Σ絢之!?ι」
千「伸さん、二人で来るなんて珍しいね。」
千尋の言葉に眉を寄せる絢之。しかし桜野を確認すると彼の腹を蹴った。
ドゴッ!
桜「グフッ!?」
絢「起きろやゴラァ。テメェよくも奏に汚い手で触りやがって。俺達を敵に回す覚悟あんだよな?あ”ぁん?」
絢之はグリグリと桜野の顔面を踏みつけ、ドスの聞いた声で言う。桜野は『…うぅっ…』と呻くだけ。
伸「止めろ絢之。それより奏に何があった?あれは何なんだ?」
伸が絢之の肩を掴み止める。どうやら伸もあの奏を知らないようで困惑してるようだ。
た「えっ、ちょっと待って?あれは何なんだって、奏に何があったのか何で知ってんの?」
ついさっきまで居なかった二人が何故か奏の変容を知っているようでたまえが聞く。
絢「カナに着けてた隠しカメラあんだろ。位置が悪くて場所の特定は出来なかったけど、この屑がカナを襲ってたのはバッチリLIVEで見てたぜ。ついでにそれを全校生徒、警察にも見せてた。たぶんカナを苛めていた馬鹿共は捕まるし、コイツも未遂とはいえ性的暴行をしようとしていたんだ。探れば余罪も出てきそうだし間違いなく捕まる。けど、その前に一発殴ってもバチは当たらねぇだろ?」
千「いや、絢之のそれ殴ってないし。蹴ってるし。それより僕も聞きたい。奏のあれは何?春と孝臣が彼女を“湊人”って呼んでいた。“湊人”って誰?」
それに絢之は足を降ろし窓に近付く。
絢「………“湊人”か。アイツとは随分会ってないな。」
空を見上げる絢之の表情は苦し気だ。
絢「幻滅、させたよな。アイツはカナを護れって俺達四人に約束させたのに、俺達は約束を護れなかった。」
千尋は絢之の隣に並ぶとポツリと言う。
千「湊人と名乗った彼女は全く知らない彼女だった。解離性同一障害、属に多重人格の事だけど、もしかして奏はそれなの?」
すると絢之は否定するように首を振る。
絢「湊人は俺達とは6つ離れた男。
15年前に死んだカナの
正真正銘の兄貴なんだよ。」


