「日暮!!テメェ待ちやがれ!!」
その隙を突いて何人もの生徒が奏に手を伸ばした。
桜「先輩早くこっちに!」
桜野がグイッと奏の手を引いてそれを避けるとそのまま彼は彼女を連れて逃げる。
奏「嫌!離して桜野くん!臣くん!臣くん!!」
必死に孝臣に手を伸ばすも、元々苛めに対して体力を奪われている上、男と女の力差ではたいした抵抗も出来なかった。
千「Σゲッ!?ιしまった!ちょっと孝臣!大丈夫?奏が連れてかれたよ!?ι」
孝「…………」
グイッと口元を拭い起き上がると孝臣はゆっくりと立ち上がる。
た「ちょっとアンタ達。いい加減に…」
孝「神崎。」
孝臣を殴った男子生徒の胸ぐらを掴み、ドスの効いた声で睨み上げたたまえの肩に手を置いて孝臣が彼女を静かに呼ぶ。
たまえが振り向き孝臣を見ると目を見開いた。
た「孝…臣…?」
何時もの眠たそうな目をしているが怒りが見え隠れしていた。
た(そういえば奏の怒った姿の前に孝臣のマジで怒った姿を見るのは初めてね。)
孝「………アンタ達、邪魔。退いてよ。」
孝臣の雰囲気に一瞬たじろぐも、すぐに睨み返す。
「ハッ!何だよ。テメェ日暮がやられてもたいして怒ってもいなかった癖に…」
孝「ちーちゃん、智也に電話。奏の居場所探そう?」
千「Σうぇっ!?ιあっ!はははいぃぃ!?ι」
ビシッと敬礼すると慌てて携帯を取り出す千尋。
孝「神崎。奏はどっちに行ったかな?」
た「えっ!?ιあの、そっち。特別教室のある棟だけど…ι」
おずおずと指を差すとそちらに足を向ける孝臣。すると、孝臣に無視された男子生徒は彼の肩を乱暴に掴む。
「おいテメェ!無視すんな!」
孝「………離せ。」
静かに、低く呟かれた言葉にその場が凍る。
孝「もう一度言う。離せ。」
次は男子生徒の目を見据えて告げると、冷や汗を垂らしながら呆然と彼は手を離す。
千「智くん智くん、めっさ孝臣が怖いんだけど。ι」
智『そりゃそーだろ。奏が傍に居ないんなら孝臣は我慢なんかしないぜ?諦めろ。
んで、今監視カメラで探してるけど見あたんねぇぞ?ι』
そんなやりとりの中も取り敢えず智也に電話をして事情説明していた千尋は孝臣の様子に思わず情けなくも智也に助けを求めたい気分だ。しかし、智也はあっさりと諦めろ宣言。しかも聞き捨てならない台詞まで言う始末だ。
千「えぇっ!?ιちょっと孝臣!奏見付かんないって!」
た「ハッ!?ιそれマジで言ってんの!?ιカメラは全部の教室に仕掛けてんでしょ?見付かんないってどーゆうことよ!」
たまえが憤慨すると孝臣は千尋の携帯を引ったくる。
孝「智也、そっちはあとどれくらいで終わる?」
智『もう終わるぜ。そっちに春行かせたわ。俺は取り敢えず監視カメラで探すからお前らは足使え。』
孝「ん、わかった。頼むね。」
ピッと通話を終えると千尋に携帯を返し孝臣は歩き出す。
孝「神崎、ちーちゃん。今こっちに春が来るから皆で奏探そう。智也は監視カメラで探すから。」
千・た「わ、わかった!」
バタバタと三人が走っていくのを他の生徒達は呆然と見送る。
「……カメラって?ι」
誰かの疑問の声に答えるものは居なかった。


