智『今日の昼にさ絢乃から電話があったんだけど、俺達この間な?幼馴染みだけで遊園地に行ったんだ。そん時に撮った写真のデータを絢乃が送ってきてさ。それにどうも偶然にしては気持ち悪すぎるものがあったんだわ。』
伸「気持ち悪すぎるもの?まどろっこしいな。スッパリ言えよ。」
智也にしてはハッキリしないそれに眉を寄せる。奏の件だ。あまり気持ちのいい話題ではないとわかっていたが、不安になる。
智『…………48枚の写真に全部いるんだ。奏を見てる一人の男が。』
伸「…………………」
え、何それ怖い。
伸の第一の思考はこれだった。
例の手紙の件から奏のストーカーの可能性は考えていた。それでもそれを現実に突き付けられると背筋に冷たいものが走る。
伸「その写真に写っている男がさっき言っていた桜野 悠太か?」
智『らしいぜ。俺も本人を見たことある訳じゃないし断定出来ねぇけどな。』
伸「あ?だったらどっからの情報だよ。」
智也が断定しないということは彼の知り合いではないのだろう。
智『千尋。実は今回の件で俺達以外に奏の味方してるっていう一年のガキがいるんだと。あ、これは奏からの報告な。アイツ今日は絢乃のとこに経過報告に行って絢乃が白状させたらしい。
んで、この状況で奏の味方なんて自分が袋叩きにされるかもしれないじゃん?アイツに惚れて、なんて都合よく解釈出来ないんだよね俺らは。それにそれを白状させなければ言わなかった奏にも疑問があるだろ?だから、千尋にその一年を調べてもらったんだけど…』
伸「まさかそれが桜野 悠太って訳?奏の味方がストーカーよろしく写真に写ってんのかよ。キモいな…ι」
智『だろ?でさ、そろそろ奏も肉体的に限界かな~?って思うんですよ。何かあまり眠れてもいないみたいよ?だから明日にでも今までの記録を全校生徒に見せてやろうか~って話してんの。それと桜野にも問い詰めてやりたいからな。伸さんも来る?』
伸「行っても良いのか?つか、元凶が分かってないんだろ?大丈夫なのか?」
眉を寄せ問うと智也もため息が溢れていた。
智『俺も本当は元凶を突き止めてやりたいんだけど、奏はもちろん、孝臣と千尋。それとたまえが参っちまうだろ?俺と春も我慢できないし絢乃からも『とにかくカナを傷付ける馬鹿を何とかしようぜ!』って言われた。幸い、監視カメラと奏の制服に仕込んだ隠しカメラでどんなことを誰がやったか分かるし充分、警察のご厄介になれるだけの証拠は集まってるぜ。』
本当ならば元凶の人間もその中に入れてやりたいが、どうもこの犯人は自分の存在を表に出さないずる賢い奴のようだ。


