絢「ふーん。…んで、もう一つ気になってんだが……」
孝「ん、俺も。」
孝・絢「…………」
お互い、やっと顔を見合わせる。
絢「……おんなじかな?」
孝「ん、たぶん。」
頷き、せーのと声を合わせる。
孝・絢「写真部の一年の男の子の後輩って誰?」
孝・絢「……………」
無言で二人は奏を見る。
絢「な~んか怪しいよな?」
孝「この状況で奏の味方なんて自分が袋叩きに遭うよね。それでも奏の味方する。奏に好意を寄せているのか、それとも……」
目を閉じて孝臣はポテッとベッドに頭を預けるとスゥスゥと可愛らしい寝息が聞こえた。
絢「Σうぇっ、ちょっ、まっ、寝る!?ιここで寝ちゃうわけ!?ιちょっとオミくーん!?ι」
忘れがちだが、孝臣はいつでもどこでも寝ちゃう子である。
絢「ハァ、シリアスな雰囲気なんて俺達が作れるわけないってか?ι
……まぁオミも疲れてんだよな。カナの事で一番キテんのはコイツだし。」
普段は無表情な孝臣だが、疲労が溜まっているのは明らかだった。
絢「これ以上はオミもキツイか。しゃーねぇ。」
携帯を取り出した絢乃は電話帳から目的の人物の番号を出す。
絢「…………あ、もしもしちーちゃん?俺だけど今いい?」
電話に出たのは千尋。絢乃は二人を起こさないよう、そのまま寝室からリビングに移動した。
千『アレ?絢乃?どうしたの?今そっちに孝臣と奏がいるんじゃ…』
絢「そーなんだけど、二人とも寝ちまってさ。」
千『あ~…孝臣は最近は昼寝も出来てないからね。けど奏が寝ちゃうなんて珍しくない?』
絢「奏の奴、眠れてないんだよ。今日は珍しく化粧してると思ったら目の下の隈を隠してやがんの。だから今日は俺が強制的に寝かせました。」
千『げっ、マジで!?ιたまえ、そんなこと言ってなかった……あ、いやダメか。あの子、一度寝ると朝まで起きないもんな。ιι』
絢「……あ…そうなのιι」
そりゃ無理だわと苦笑する。誰かが気付かなければ奏は自分から体調不良など決して言わない。


