彼の名前は涼（りょう）。
学校の中でも、そんなに目立つ存在ではなかったけど、人の人望だけは厚かった。
涼は、小学校の時からサッカーをやっていた。
ポジションは、MFだった。
小学校の４年生の時に、ポジション決めを行ってから、一度も替えたことがなかった。
サッカーの素質もあったのだが、１番は向上心が高かったからだと思う。

いままで、サッカー一筋だったので、友達も偏ってしまっていた。
しかし、涼はいつも楽しそうに笑っていた。

私は、その時の涼のことをよく覚えている。
でも、なぜこんなに覚えているのかわからない。
気がつかないうちに、自分にはない涼のなにかが気になっていたのかもしれない。
そして、また気がつかないうちに涼のことを目で追っていたのかもしれない。