「…ほっとけぇ。」
私はしょっちゅう、心配してくれてる彼女に
こうして突っぱねてしまう。
嫌な癖
直すべき癖
それでも毎回彼女は呆れずに
私を選んでくれる。
「はいはい。ほっとくけど、つぎ小テストだからね。ほっとくけど。」
「…………。」
まあ、たまにこう弱いところをつかれるので
お互い様かな、とかね。
思ってるわけで…
「…わかった!私の負けだよ!!」
「なんのはなしぃ~?……ふふっ」
「性格悪いな!ほんと!!」
誰かさんには負けますよ、と捨て台詞をはいて
彼女は教室を去った
そんないつも通りの午後
高校3年生の
私、紅嶋 真珠(コウシマ マリ)の話。
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小説が好きだった。
12歳の冬、買ってもらった一冊の小説
クリスマスのはなし。
主人公はお金好きの他人に厳しいおじいさん
店の従業員の家庭も無視して自分のお金に没頭し
一人でいいと人生を損していた。
そんなおじいさんがクリスマスの夜
とても怖い夢をみる
自分がしたことでみんなが困っていたこと
怒っていたこと、悲しんでいたこと
そんな自分のわがままのせいで
死んでしまう人がいるかもしれないということ
今のままでは自分が死んだとき
だれも悲しんでくれず
彼は本当の意味でひとりっきりになってしまう
そこで彼は改心し、
ハッピーエンドを迎える
そんな話。
初めて読んだとき、私はなぜか泣いていたのを覚えている。