「小さい頃に親が事故死して
 ひきとられた先のDVがひどくてさ…」


そんなことを言えば、

嘘とも知らずにバカなあのこたちは同情してくれる。



かわいそうな「私」。


悲劇のヒロインな「私」に。




実際のとこ私の家は血のつながりのある父と母が、仲睦まじくはないものの毎日一緒に暮らしている。

父が自営業で会社をしているため、少しばかり裕福な。


そんなありきたりな家族。つまらない家族。

話のネタにもならない。そんな家族だ。




それなのに彼女たちは

私の話した話を証拠もないのに信じる。



なんでだろうね、なんでかな。



それがおもしろくて嘘がやめられなくなったのはいつからだっけ?


嘘は怖いもので

巡り巡って自分を苦しめる。



自分のついた嘘があればあるほど

見返りはきっちりかえってくるものだ。




なんて怖いものだろうね。ほんとにさ




「………笑っちゃうよね」




そう自己完結して口からでた言葉に、


目の前にいた 彼女 が笑い、話しかけてきた。




「また、皮肉なこと考えてたの?真珠ちゃん」

「…皮肉とは失礼だね、真剣な悩み事よ?」



ふふふっと彼女はいうと

次には持っていた教科書にめを通していた。


つくづく、まじめな友人。

友人なのかな。友人だろうな。



そんな私の中で曖昧なラインにたっている彼女は

結城 そら。(ユウキ ソラ)


たまたま家が近くて
たまたま中学高校とおなじ子


気づけば一緒にいるのは彼女、だからきっと友人だとおもう。



よく、わからないけれど。




「真珠ちゃんさ、いい加減その小難しい考えで自分を追い込んでいく癖、やめたらいいのに…」


ポツン、と言われた言葉に

なぜか胸が、ギュッ!となった。