[短編]彼しかいなかった

「来ないでよ!」


彼と触れる数センチってところであたしは叫んでいた。


「待てるかよ」


そう言いながら、あたしに近づいてくる。


「あなたは、彼女と一緒に幸せになればいいの…」


あたしがそう言うと彼の口から信じられない言葉が出て来た。


「俺には彼女なんていない!」


えっ?


あたしが驚いた顔をしていると、あたしは彼の胸の中にいた。