医師に言われた過去の症例だと、

朝起きた時に、脳内出血を起こす。
トイレで踏ん張った時に、脳内出血を起こす。


何処にでもある日常生活でもリスクがある病気である。



だから、若く血管が強かったとはいえ、今まで野球で激しい運動をしていて、何も起きなかったのは、奇跡と医者に言われていた。



そういった症例が、義之に見えないプレッシャーとして、圧し掛かってきた。



生きる事や死ぬ事に考えるようになって、義之は、よく空を見るようになった。




透き通った綺麗な空を見ていると落ち着くからだった。



空を見ながら思うことは何時も病気と、響子の事だった。



冬間近とあって日が暮れるのが早い。



授業が終わって、2時間もすれば、日が暮れ始め、数10分経つと暗闇に消えていく夕日が好きだった。



限られた時間しか見られない夕日だが、温かみのある輝きが、義之の心を癒してくれていた。