葛藤の日々が続いたある日



些細な事で義之は、友達と口論になり取っ組み合いが始まった。



拳(こぶし)を振り上げ、下ろそうとした時、響子が割って入ってきた。


あっ!

ゴツン!!



響子が入ってきた事に気付いた義之は、慌てて拳を止めようとしたが、止まりきらず響子の顔に当たってしまった。



響子は、大して痛がる事も無く義之に言った。



「もし血管が切れたらどうするの?義君!」



その一言と響子を殴ってしまった罪悪感で、血の気が急激に引き冷静さを取り戻す義之。



途中気づいて止めようとはしたが、男のパワーのパンチに怯むことなく毅然としている響子。



響子の芯のある強さと、優しさに改めて尊敬の念を抱き、惚れ直した義之。



だが、自分は何時死んでもおかしくない人間。


ましてや自分の事で一杯の小さな人間…
響子とは器が違いすぎる…
こんな俺じゃ釣り合わない…



そんな思いが、義之を悩ませた。