義之が変わった…



しかし、イジメを行う者が減ったとはいえ、依然として自分のクラス以外の生徒からも、イジメの標的にされている。



そんな義之の心を救ってくれたのが、テレビで見て虜になった野球だった。



転校のちょっと前にクラブに入会した為、前の学校の友達がいる少年野球チームだった。



カキンッ!
バスンッ!



オーライ!!
バッチコーイ〜



白球を追いかけている間は、イジメられている事を忘れる事が出来る。


仲間達と笑い



練習の辛さも吹っ飛び笑顔が絶えない




充実した時間を過ごす……



たとえ女子全員から嫌われていても自分には野球がある!!!!



野球は、義之に現状の苦痛を和らげるだけでなく、将来プロ野球選手になりたいという未来へ生きる意欲をもたらす結果になった。




だが、学校生活の時間に対して、クラブ活動の時間は少ない。




楽しい時間より辛い時間の方が遥かに多い……



野球をやっている時以外の義之の目は、死んでいた…。



ギリギリの所で、耐える日々が続く。



テレビで報道されるイジメを苦にした自殺の報道が、他人事に思えなかった。



しかし、事態は急変する事になる。