「北本 涼です。よろしく。」



朝のHRで、涼くんは黒板の前で自己紹介している。



「席は水城の隣の空いてる席だから。」




先生がそう言った。





「分かりました。」




涼くんはそう言って、席に座った。




うわ。ほんとに隣だし。




「よろしく。」



涼くんは、始めて会ったときのあの不機嫌な顔でそう言った。




私はなぜ不機嫌な顔だったのかはすぐ分かった。



おそらく、女子全員が涼くんのことを見ていたからだろう。




「うん」




私は、涼くんへの女子の視線が怖かったから素っ気なく返事した。