黒薔薇の庭園。
紫や、黒といった寒色系の花々が咲いているそれは美しい庭園だった。

そこに一つ、まるで太陽のように輝く髪が揺れる。





噴水のそばにかけていき、手間でぴたりと止まった。





「寒いけど、綺麗だわ。」


吐く息はとても白い。寒いけれど黒い薔薇はより一層輝いてみえる。

白薔薇とは違う美しさ。


噴き出す水はうっすら冷たい月明かりに少しだけ照らされる。






「また、会いましたね。」



白音の後ろから、聞いた事のある声がする。

心臓の鼓動が早くなるのを感じる。



また、また会えると思わなかった。



真っ黒な銀のように輝く髪
白音と同じ、黒に赤のような瞳。
すっとした美しい顔は冷たい月明かりに照らされる。




「ぁ、パーティーい、以来です、ね。」



何故か片言になってしまう。
いつもの自分ではない気がする。
顔をあげる事が出来ない、何故か目の前にいるであろう彼の顔が見れない。

会った時に言ってしまった一言を思い出してしまう。
笑顔が好き……と、


思い出してまた顔が赤くなってしまう。




「…………まさかと思っていましたが、やはり貴方は白薔薇の方なのですね。」




彼は優しい声で白音に話しかけた。
そのまま白音の前に立つ。