「そうだ!魔法なんて必要ない!」

「俺らの力で貴族をぶっ潰してやる。」

「白薔薇を!」

「黒薔薇を!」

「あんな、俺達を見下すような奴らはいらない!」



広場にいたもの達の矛先は王宮ではなく、白薔薇と黒薔薇。

神帝であった。

五帝でもない、

殺し続ける黒薔薇の使命
光り輝く存在になるべき白薔薇の使命


そんな使命からのものだった。
彼らは立ち上がり、大きな大きなものになる。

彼らは知らない、魔法が何故出来たのかなど、

ただ、今の辛い生活から逃れたかった。

広場にいたものは全員その気持ちだったのだろう。



「龍牙様………私達がやったことは正しかったのですよね?
これでいいのですよね?」

舞台から降りてきた少年に話しかける一人の少女。

不思議なピンク色の瞳に茶髪の髪は横に一つで結んでいる。


「リゲナ、ぁあ、俺達は正しいよ、間違ってるのは王さ。あんな神帝がいるのが間違いさ。

だから俺達は奴らをぶっ潰してやる。

俺達の幸せの為に。」


「話し合ったりは出来ないのですか?その……傷つけあうなんて……」


涙目のリゲナの頭を優しくなでる龍牙。
しかし、その瞳は覚悟を決めたかのような冷たい瞳。


「話し合おうとした父さんは殺されたよ。
もう無駄なんだよ、俺達の血が沢山流れた、
あいつらがあのままお気楽に暮らすなんてありえないんだよ。」





小さな暗い広場に、
覚悟を決めた人々の瞳が恐ろしく、冷たく光った。