《黒夢を白薔薇の宮廷へ?》


小さな塔の一番上の部屋
小さな部屋に丸い水晶が浮かべられている。

そこに金色の瞳のマハブリードの姿。


「はい、王からの話を聞いて考えたんです。

この世界で今起こる差別や、貧困、どうしたらいいのか………

一人で悩んでも答えが出なかった。
だから、黒夢と、黒薔薇の姫と、話し合いたいんです。

どうか、お願いします。」


水晶に写るマハブリードに対して頭を下げた。



《白い力と黒い力は混じってはいけないんだよ、
この前のパーティーだって異例の事だったんだ。

白い力って具体的な形はない、もちろん黒い力も……


だから、どうやったら混じってしまうというのかは初代の王しかしらないんだ。

うっかりしたことが出来ないんだよ?》



「わかっています。

だけど、このままじゃ駄目な気がするんです。

今も苦しんでいる人が沢山います。

だから、………だからどうか……」




まっすぐ見つめる白音の瞳に、マハブリードは少し考えて、


《わかった。

そこまで言うなら少し話し合うよ、五帝のもの達にも話し合って決めてもらう。

また連絡するから待ってて?》



「王よ、感謝します。」


深くお辞儀をした。

じゃあといって水晶からマハブリードの姿は消えてただの水晶になった。


「良かったですね姫、話し合うとはいえど……

姫の意見が通りました。」


後ろで微笑むカシベル。
真っ黒な瞳は白音にむけられる。


「お母様に連絡しなくては………」


「ご心配なく、すでに雪子に白百合様への連絡は送らせてあります。」



「さすが私の騎士ね、ありがとう。

これからよ、これから未来が動くのだわ。」



そういって優しく微笑んだ。
その表情は自身に満ちあふれていた。