「…まぁね」


「女の子も一緒に住むとか!?」


「いや…」

俺が答えようとした途端に、母が割って入った。


「いるわけないじゃない」

半笑い気味にテレビを見ながらそう呟いた。
人に言われると、ちょっと悔しい。


「いるわけないじゃないか」

親父まで…。額の汗をタオルで拭きながら、奥でそう呟いていた。

というか会話を聞いていたのか?


「だよね。いるわけないか。男四人暮らしかぁ…男子校の合宿みたいで、楽しそうじゃん」

姉貴…。思ってもないくせに。


…悔しい。

女の子がいるって言ってやりたい!

ついでに宇宙人だっているんだぞ!


「いつ引っ越すの?」


「えーと、明日かな?…じゃあ、バイト行って来るわ!」

俺は早めに家を出た。
質問責めに遭うのは嫌だし、早くバイトに行きたい理由があった。


それは………

バイトの中番の女の子と話すためだ!


遅番の俺が中番の女の子達と被る時間は、交代前の10分程度しかない。

それが過ぎたら、楽しみも特にない退屈な深夜アルバイトだ。

中番と絡む時間が、俺にとって唯一の楽しみだった。


今日の中番は女子高生の伊東ちゃんと内藤ちゃんだ。
シフト表はちゃんとチェックしてある。

伊東美沙ちゃんはまさに女の子って感じの純な可愛い子。
ギャルっぽくなくて清純な感じが俺は好きだ。

内藤ちゃんは…まぁ、美沙ちゃんと一緒に歩いていれば辛うじてナンパされるんじゃないのかなって感じの女の子だ。


俺はお目当ての美沙ちゃんと絡むため、急いでバイト先のコンビニに向かった。