立ち上がった俺に、ハカセがこう言った。

「逃げるのか…?クロザイル」


「逃げません。ただ、桃子さんが俺に来いって言ってるような気がして」


「なに?わかるのか?」

ハカセが不思議そうに俺に訊いた。

俺は、確かに電流のようなものが走ったんだ。

「はい…なんとなく、桃子さんが俺に語りかけてるような気がするんです」

「よし、家に戻ろう」

ハカセと俺は急いでアジトに戻った。



アジトに戻ると、桃子さんがバタバタと階段を下りてきて、玄関の俺たちにこう言った。

「二階の涼平の部屋に来て!もう大変なんだから!」

「は、はい!」

何が大変なのかはわからなかったが、急いで二階に向かった。


涼平の部屋は相変わらず汚くて、食べ終えたカップ麺容器の数が大変だ。

掃除が大変だ。

「こっち!見て」

桃子さんが涼平がいじっているパソコンの画面を指した。

中を覗くと、航空写真のようなものが写っている。

「これは…?」

俺が尋ねると、涼平が答える。

「パソコンで地球を衛星写真で上から見ることが出来るんです。ほら、建物とか、ズームすれば車だって見えるでしょ?」

「へぇ~すごい」

「感心するのはそこじゃないの。涼平、さっきの画面出して」

桃子さんに言われ、涼平は山の中をズームしていく。