「誰かに聞かれてたらどうするの?警察どころじゃなくて…


…殺されるよ」


彼女は真顔で俺にそう言った。


俺は一気に血の気が引いていくのを感じた。


「…え?誰にですか?」

小声で彼女に訊くが、


「…ここじゃ言えない」

と、教えてくれない


「これの事は、外では喋らない方がいいの」
と、彼女はバッグの中身をちらっと見せる。


白いバッグの中に、あの黒いベルトが入っていた。

さっきの状況で拾ってたんだな。俺はそれどころじゃなかったが。

どうやらベルトに秘密があるんだろう。


殺されるような秘密が…。


「じゃあ…危ないから今日のところはあたしが預かっておくから、明日取りに来て」


一生預かってもらっていいんだけど…。


「あたしの家に」


行きます!

俺って単純過ぎる。


「…明日、ですか?」


「都合悪い?」

彼女が首を傾げる。


「いや、多分大丈夫ですよ」

行く気満々過ぎてもキモいから、少し演技した。


「じゃあ明日の13時にここに集合ね!詳しい事は全て明日」


「あ、はい」


「じゃ…」


去ろうとする彼女に声をかける。


「ありがとうございました」


「いいえ」