「…逃げるよ」



俺は彼女に手を引かれ、ピンク色の背中を見つめながら、外へと歩いた。


「なんだ…知り合いかよ」


「なんだよ…痴漢ごっこかよ」

そういう声が後ろから聞こえたりもした。



俺は走った。



店を出てから彼女と一緒に、300メートル先のコンビニまで走った。


走ってる間も俺はずっと考えていた。


助けてくれたピンクの彼女は、一体誰なんだろう。




「―ハァ…ハァ。ここまで来れば大丈夫ね」


「ハァ…はい。ってか、なんか本当にすいません」

俺はとりあえず謝った。

ケツを触ったし、助けてもらったし。


「いいよ…しょうがないもんね」


彼女は微笑んでそう言った。

ベルトの事を知ってい
る…?


俺はその時、直感でそう思ってしまったのだが、その通りだった。

「―え?じゃあ、わざとじゃないって知ってるんですか?」


「うん…」
と、彼女は頷いた。


「ベルトの事も?」


「…」

彼女は周りを気にしながら小さく頷く。

俺は逆にテンションが上がる。

「じゃあっ!じゃあ!さっきナオトって言ったのは!?」


「ああでもしないとそのまま警察に持ってかれちゃうとこだったでしょ」


「うあぁ!マジですかぁ!?だからあの本気具合!ナオトって人とホントに勘違いしてるのかと思った…」

俺の上がったボルテージを下げるように、彼女は冷たくこう言った。


「ねぇ。声のボリューム下げて」

そして彼女は俺の腕をつねった。


「あいたたた…すいません」

彼女は少しSっぽいのか…?