「張さん…」


張はハカセの両肩に手を置いて、こう言った。


「家族の笑顔が見たいから、遠くにいても頑張れるんだ。稼いで美味しいモノ食べさせてあげようぜ」


そう言って、張は微笑んだ。



「……ああ。そうだな」

ハカセも笑顔で頷いた。






ハカセは飲みにいける程のお金を作ると、真っ先に桃子のいるキャバクラへ向かった。


娯楽のためではなく、宇宙の未来を考えての行動だった。


ボーイの鈴木が、入り口に入ってきたハカセに気付き、後輩のボーイに耳打ちする。


「あれ…またあの汚いオッサン来てるよ。対応してもらっていい?また値切るんなら帰しちゃっていいよ」


「わかりました」


そう言ってボーイはハカセに近付く。


「お客様~?あ、この前の方ですよね~?」


「この間はすまなかった」

ハカセはすぐに頭を下げた。


「あ、まぁお触りは禁止ですんで、気を付けていただければ…。で、今日はどのようなご用件で?」


「桃子さんを指名で!」


「あ、はい。その……こっちの方は大丈夫ですか?」

そう言ってボーイは、さりげなく手でお金のマーク作った。人差し指と親指で丸を作って示したのだ。


「なんだそれは?」

宇宙人のハカセにはそれが理解出来なかった。


「その…いやらしい話なんですが、お金の方です」


「大丈夫だ!」と、ハカセはポケットからしわくちゃの一万円札を出して見せた。


「し、失礼致しました!お客様、すぐにご案内致します!」


ハカセはそのまま奥に案内された。