「…サポーター?…腰が悪い…?…まさか…」

ベルトの力かもしれないと思ったハカセは、張にこう言った。


「そこに行くのに、いくらぐらいかかるんだ?」


「んー4千円くらいかかるね」


「明日もっとたくさん持ってくるから、今日の分5千円にしてくれないか!?」


「しょ、しょうがないネー。……ハイ。無駄遣いするなよ」

お金を受け取ったハカセはさらにこう言った。


「ついでに…そのキャバクラってやつはどこにあるんだ?」



ハカセはその足でキャバクラに向かった。

意を決して中に入るが、作法が全くわからなかった。

ボーイに促されるまま席に着くと、気付くと隣には見知らぬ女性がお酒を作ってくれていた。

「お仕事の帰りですか~?」

「ああ」

ハカセは素っ気無く答える。


「ですよねー。顔とか服も汚れ…あ、ごめんなさい。真っ黒だから、ガテン系のお仕事されてるんですか?」


「ガテンケイ?なんだそれは?」

女はそれを知らないことに驚くが、きちんと答える。


「え…いや、肉体労働とか、技術職かなぁ~って」


「そうか……汚くてすまんな。作業着も真っ黒で」


「いえ、男らしくていいと思います」


「大変だな。汚くて臭い相手にもニコニコして機嫌をとらなきゃいけない仕事なのか?」


「い、いや…」


「それより、腰が悪い女の子ってここにいないか?」


「え…もしかして……桃子のこと…?」


「名前はわからないんだ。なんでもサポーターを腰に巻いてるとか」


「あ、それ多分桃子って娘のことだ!ベルト付けてたもん。知ってるんですか?」


「知らん。ただ、聞きたいんだが、そのベルトは何色だった?」


ハカセはキャバ嬢の碧に顔を近付けて訊いた。


「…ピンクだったかなぁ?」

ハカセはそれを聞いて、さらに碧に詰め寄り、両腕を掴んでこう言った。


「その娘はどこにいる!?」