それから桃子はすぐに別の場所へ引越し、別の土地でも夜の仕事を続けた。

彼女にとって夜の仕事とは、自分を求めて来てくれるお客さんがいることで、人に必要とされているのがわかる大事な居場所でもあったのだ。


同時期にハカセは、中国人の張という男に、宇宙船をスクラップにして売っていた。ガウデス王政にベルトを奪われ、宇宙船も壊れてしまったハカセは、なんとか生きるために、宇宙船を売ってお金に換えていた。その中国人との出会いも、ハカセが栄養失調で倒れていたところを偶然通りかかった張が、おにぎりを食べさせて助けたというものだった。

ハカセが山から運んできた鉄屑を見て、張がこう言った。


「今日もたくさんアリガトーね」


「ああ。2千円ぐらいにはなるか?」


「ソウね。おまけで2千円札アゲチャウよ!」


「2千円札?すごいのか?それは」

「ハハハ…レアものね」

ハカセはまだ地球に来てそれほど経ってなく、知識がまだ浅かった。
ハカセと張がトラックに鉄屑を積んでいると、張がこんなことを言った。


「…隣町のキャバクラに、カワイイ子が入ったんだってさ」


「キャバクラ…?なんだそれは?」


ハカセは張にそう尋ねた。


「知らないのか?女の子イッパイ、楽しい。お酒美味しいよ。高いけど」


「ふぅん。奥さんがいるから、わしは無理だな…」


「オクさんて…別の国だろ?」


「ああ、別の……国みたいなものだな」


「俺もそうよ。中国の家族のために仕事頑張る!ダカラ、息抜き必要!」


「息抜きか…」


「なんか新しい子、腰が悪くて、サポーターしてるのに大人気らしい!ドレスにサポーターだよ?面白いネ」