「結局、見つかんなかったですね」
と、涼平が言った。


「うん…」
と、俺が頷く。


「あ、念じてみようよ!」
と、桃子さんが言った。

そうだ。念じたら来るかもしれない。


俺はスーツケースからベルトを出し、腰に巻いた。

3人で手を繋ぎ、輪を作る。


「レッドーー!」


「帰ってこーーい!」


「どこにいるんだバカヤローー!」


3人で思い思いの言葉を叫んだ。


しばらく待っても、何も起きない。


「…来ないね」

「念じて来るのものなのかな?」


ちょっと疑問に思ったりもした。


「やっぱり、これってただの磁気ベルトなんじゃないの?」
と、桃子さんが言った。

そんな気だってする。夢だったんじゃないかって思ったりもする。


「そうだと…いいんだけどな」
と、俺は呟いた。


「あ、日が暮れる」

沈んでいく夕日を横に、俺達は手を繋いだまま、前を向いて歩いた。