イルリマ帝国伝説章

眼を開ける。
眼下に広がる世界に何度も眼を擦った。明らかに今まででいた世界とは違うのだ。
上を見れば灰色の空。辺りを見渡せば寂れた気色、時折不気味になく鳥の声と羽ばたく音。
枯れ果てたような木々。
そうまるでそこは。
(凍んでいる世界のようだ)
こんなことを思わせる風景だった。
とにかく歩きだすことにした。このまま立ち止まっていても仕方ない。歩き出せば何かしらわかるだろう。とは思うものの人どころかネズミすら見つけられないほどに荒れ荒んでいる。建物こそ有るものの住んでいる様子はない。
どれくらい歩いただろうか。体力も限界に近づきつつある。そういえばここに来てどれ位たつ?時間の感覚なんてわからない。それより何より。
ぐうぅぅぅ…
ここに来て腹の虫を聞くのは何度目か。その度に人に会えたら食べ物を一口ほど分けてもらおうと思っているのだがもはや望みは薄い。草木も生えておらず食べ物と言うものを見つけられない有り様だ。寧ろ、それが食べられるのかどうかもわからないのだが。
限界に達してその場にへたりこむ。容赦なく空腹と疲れは襲ってきた。
立ち上がらなきゃいけないのだがそんな気力残っていない。最後に食事をしたのがいつだったか思い返してみる。朝食が最後だろう。そして後悔をする。
どうせなら荷物一式持ってこれば良かった。そこに昼食用の弁当があったのだから。
ぐうぅぅぅ
再び腹の虫がなく。ため息しか出なくなっていた。