「木山!」



20分経って和咲が到着する。



「ごめん、待った?藍姉達張り切っちゃって…早めに来たつもりだったんだけど…」


「いや、全然待って……」



悠晴は和咲の浴衣姿に見惚れていた。



藍達にプレゼントしてもらったであろう浴衣に帯は濃い紫色。

髪を結って、濃い赤色の牡丹の簪をさしている。



「木山?」



文章の途中で言葉を切ったまま黙ってしまった悠晴に、呼び掛けるも応答なし。


仕方がないので呼び掛けながら覗き込む。



「木山!」


「うぉっ!!」



声がしたと思ったら和咲のドアップで思わず仰け反る。



「どうしたの?」



まさか悠晴が自分に見惚れているなんて露も知らず、和咲は心配顔。



「な、何でもない。行こう。」