「親父さんは?生き返したんか?」

その言葉に、驚いた。そんな事まで知ってたんか……

「大丈夫や。お前を殺してへんねんから、死んでない事になってるはずや」

「そうか。なら、よかった」

「それだけ?」

「まぁ……」

「麗菜……俺の作戦、完璧や。明日、まかしとけ」

「なんや、めっちゃ自信あるみたいやんけ」

「おう。俺にしては、上出来な作戦や。絶対、上手くいくはずや」

「ほんなら、楽しみにしてるわ」

「楽しみって、お前…」

「だって、何て言うたらええか、わからんやんけ」

「麗菜。明日は、俺の言う通りに動いてくれへんか?」

「わかった」

「ほな、また明日な」

そう言って電話を切ると、心臓の音が高鳴っている事を実感した。緊張していて、居ても立ってもいられない。

「くそ!」

誠は一階に降りて玄関を開けると、真っ直ぐに全力疾走した。このままだと、きっと夜は眠れない。そう思った誠は、疲れ果てるまでひたすら走ろうと思った。






夜。
誠は家に帰ってくると、フラフラと靴を脱いで階段を上がろうとした。

「おかえり。あんた、こんな時間まで、どこ行ってたんや?」

秋子が声をかけてくる。その横には、春男の姿。

「ジョギングや。たまには、運動せな」

階段を上がると、自分の部屋に入った。そのまま、倒れ込むように布団に転がる誠。

「フー……」

天井を見上げた。静かに目を閉じる。

「……」

しかし、頭の中は、明日の事でいっぱいだった。

「くっ……」

誠は起き上がると、再び日記帳を開き、予想日記を確認した。

「ホンマに、これでいいんやでな……」

少し、不安になってきた。

「大丈夫、自分を信じろ!」

無理に微笑んでそう呟くと、誠は静かに目を閉じた。