「南原君、ちょっと麗菜君借りてええ?」

「おぅ、ええよ!」

「誠ぉ…」

麗菜はがっくり肩を落とす。

「モテ男は大変やなぁ!まあ、頑張れよ!」

誠はニヤニヤしながら麗菜の肩をポンポンと叩いた。

「じゃあな、誠。また明日学校で、今日の話聞かしてな」

「おう!」

麗菜は誠にそう別れを告げると、ガックリ肩を落としてしぶしぶデートに行った。

「さてっ」

誠は階段を降りて、校舎を出た。大きな緑の木が特徴的な校門に着くと、例の女の子がその木陰に座って待っていた。

「南原君、遅かったね」

「ごめんごめん、麗菜に会ってさぁ…」

二人は歩き出した。

「ほんで…ごめん!実は、お前の名前忘れてん!何やっけ?」

誠は申し訳なさそうに頭をポリポリ掻きながら言った。

「えぇーひどいね。私は、三富千里だよ」

「あ、そうやった、そうやった!ほんで千里ちゃん、文具店はどの辺にあるん?」

「すぐ近くだよ。あ、南原君、自転車で学校来たんじゃないの?持って行かなくて大丈夫?」

「ってゆうか、南原君ってカタイ!誠でええよ」

「ん…、わかった」

「まぁ自転車は、日記帳買ったらまた戻って取りに来るわ」

「そっか」

「ってゆうか、千里ちゃん、ほんまに鳥取から来たん?」

「うん。何で?」

「何か、鳥取って感じせぇへんから…。それって、鳥取弁なん?」