「どうしたんや、誠?」

「いや、何もない…」

とりあえず誠は、一時間目が終わるを待つことにした。




一時間目、終了。
チャイムの音と同時に、誠は急いで千里の席に向かった。

「千里ちゃん…」

「何?」

無愛想な返事をする千里。

「頼む、教えてくれ。なんで、記憶があるんや」

「さぁね」

「なんで、俺に日記の事教えても何ともないんや」

「さぁね」

「頼むわ、千里ちゃん!」

「フフフ…」

千里は勝ち誇ったような不気味な笑みを浮かべた。その笑いに、苛立ちを感じ始める誠。

「もう日記が無いお前に、不思議な力があるはずない。なんでや。なんで、記憶があるんや!」

「だから、教えないって言ってんじゃん」

「くっ……」

だんだんイライラする誠。

「お前、いい加減にせぇよ」

「……」

「助けたったやろ!」

「……」

「お前なぁ…ちょっと、来い!」

誠は、黙り込む千里の腕を無理やり引っ張った。

「やめてよ、誠君!」

わざと、大声を上げる千里。そのとき、千里を引っ張る誠の腕を何者かがつかんだ。