「なんで千里ちゃんは、俺に日記教えても平気なん?」

「…何の事?」

「…あ!」

……そう言えば、予想日記に千里ちゃんは記憶を失うって書いたんやっけ……

「あー……ごめん、何も無い」

「そう」

誠は自分の席に帰ろうとした。その時だった。

「……私が、教えるとでも思ったの?」

「……え?」

鳥肌が走る。確かに、その言葉は千里から発せられたものだった。

「お前……記憶、あるんか?」

「フフフ…」

誠が話しかけようとしたとき、先生が教室に入ってきた。

「皆、席に着け」

「くっ……」

誠はしぶしぶ席につくと、頭をかかえた。

……どうなってるんや……日記に書いたことは、絶対なんやろ?記憶は消えてるはずやろ!

誠が歯を食いしばっていると、それに気づいた麗菜が話しかけてきた。

「誠?どうしたんや?」

「え?いや……」

もう、自分の力だけでは何が何だかわからない。誠の思考回路は、限界を超えていた。誰かに相談したい。でも、千里は味方ではない。誠は、麗菜を見た。

……なんとか、信頼できる人に……麗菜に、相談する方法は無いんか……

「くそっ……日記の秘密を伝える方法さえわかれば……」

……もしかしたら、ルールの種類によって、破ったときの罰が変化するんか?秘密を漏らすぐらいやったら、軽い罰かも……いや、いや。どんな罰があるかわからん以上、そんな危険な賭け、できへん。