放課後。
キーンコーンカーンコーンと、チャイムの音が校内に鳴り響いた。

「誠ぉ。久しぶりに、一緒に帰ろうや」

「そうやな」

誠はチラリと千里に目をやった。千里は俯いていて、帰る支度をしていた。

「…誠?どないしたんや?」

「…おお、ほな、帰ろか」

二人は駐輪場に向かうと、自転車にまたがった。

「しかしあれやなぁ、最近面白い事無いなぁ」

自転車を漕ぎながら麗菜が呟いた。

「そうやな」

と言いつつも、誠はさっきまで悪戦苦闘の状況だったので、そうでもなかった。

「学校も、毎日あるし。なんで休日まで行かなあかんねん」

「あれ?そう言えば、なんで土日も学校あるんや?」

「え?知らんのか、誠?お前、何も気ぃつかんと毎日学校来てたんか?」

「まぁ……」

日記を知ってしまった誠は、ここ数日それどころではなかった。

「相変わらずアホな奴やなぁ。この夏から学校はゆとり教育が無くなって、休みは月一回になったんや」

「え!マジで?」

「俺は、それにも気ぃつかんと毎日学校来てたお前にビックリやけどな」

「ホンマ?」

「ホンマや。その証拠に、連日学校あるやんけ」

「そう言えば……」

「あーあ。だるいな。まぁ、ほな、また明日な!」

麗菜はそう言うと、途中の道で別れて自分の家の方角へと帰っていった。

「気づかんかった……」