振り返ると、そこには友美の姿があった。

「あ、友美ちゃん?」

「南原君、昨日ずっと待ってたのに…何で来てくれなかったんですか?」

「あ…、ごめんごめん、ちょっと親友と…いや、ただのクラスメイトとケンカしてもうて、大変やってん…ごめんな」

「じゃあ、今日は一緒に帰れますか?」

「ごめん!今日もちょっとそういう気分やないねん…あ、明日でもいい?」

「はい。ごめんなさい、無理言って」

「いや、無理言うてるのはこっちやから…」

いつもならこんなに可愛い娘に誘われると飛び上がるほど嬉しいのだが、今はそんな気分になれなかった。友美に「また明日な」と言うと、誠は教室のドアを開けた。すると、そこには席に座っている麗菜の姿があった。

「麗菜、お前よくもまぁノコノコと俺の前に顔出せたな」

誠は麗菜の顔を見ないで、自分の席に座りながら言った。

「うるさい。喋りかけるな」

麗菜は無表情で言った。

「…お前なぁ、ホンマ何やねんその態度?悪いと思てないんか?」

誠は麗菜の顔をにらみつけながら言った。

「思うわけないやろ」

「お前ホンマなぁ…ドツきまわすぞ?」

「あ?ケンカしたら退学ちゃうんか?」

「退学が何やねん?」

「……やれるもんならやれよ」

「よっしゃ」

誠は立ち上がると、麗菜の顔を思い切り蹴った。その衝撃で麗菜はイスから激しく落ちた。