「……おぅ。俺が盗ったわ。パチンコで負けて…ムカついとってん」

麗菜は、淡々と言った。

「麗菜……何でや?」

「だから、金が欲しかったんや。お前が金持っとっても、どうせしょーもないことにしか使わんやろ?やから、もらった」

「麗菜…お前なぁ!」

誠は麗菜の頬を思い切り殴りつけた。麗菜はイスから落ち、壁に背をぶつけた。

「麗菜……お前…お前、そんな最低なやつとは思わんかったわボケ!」

「痛いなぁ。いきなり殴んなよ」

「なぁ…何でやねん麗菜?何か理由あるんやろ?」

「無いわ。だいたい俺はなぁ、お前のこと、昔から嫌いやったんや。何かムカつくねん。別にお前のこと友達やなんか思たことないわ」

「お前…本気なんか?どうしたんや?今まで散々ツルんできたやろ?ホンマは何か理由があるんやろ!」

誠の声が次第に大きくなる。

「だから、嫌いやねんお前が!それだけや」

「…真剣に言ってるんか?」

「嘘なんかついてどうすんねん」

「俺…お前のこと、ずっと信頼しとったぞ?」

「俺は何とも思ってなかったけどな。親友ごっこは、もう終わりや」

「お前……お前、最低じゃボケ!」

そう叫ぶと、誠は半泣きになって教室を飛び出して廊下をがむしゃらに走り抜けた。校舎を出ると、自分の自転車にまたがって、家に向かってひたすら漕いだ。