誠は何がなんだかわからなくなり、気が気ではなくなっていた。

……どういうことやこれ…あの日記に書いたことが、全部そのままになるなんて…ありえへん…

それでもまだ少し半信半疑だった誠は、勝った五万円をポケットに突っ込んで急いで家に向かった。

「今日の晩ご飯は…日記に書いたのは、焼肉…」

家に着いて扉を開けると、ジュージューという音が聞こえる。何やら焼いているようだ。

この匂いは、もしかして……

「あ、おかえりぃ。あんた、どこ行ってたん?今日は焼肉やで」

帰ってきた誠に気付き、秋子が言った。誠はその言葉で確信した。

……やっぱり…これ、偶然なんかじゃない…すごい!これはすごいって!書いたことがホンマになってる…あの日記帳さえあれば、全ては俺の思うがままやん!

誠は恐怖ではなく、嬉しさを感じた。ご飯を食べ終わると自分の部屋に行き、布団の上にドサッと腰をおろすと、携帯電話をとりだして麗菜に電話した。

「もしもし?誠?」

「おう、麗菜か?お前今日、学校行かんと何してたんや?」

「あ?今日は学校面倒くさいから、パチンコ行ってたわ」

「ってゆうことはお前、サボってたんやな?」

「おぅ。何か、文句でも?」

「いや、それだけや。ほんなら」

「お、おい……」