絶対日記『REWRITE』

……そうや。もうすでに、4回目なんや。俺が買うのは、4枚目。つまり、一万一倍を買っても、当たらへん。当たるのは……


誠は、再びオッズ表を見た。

「これや…」



1万、4倍。



誠はすぐに発券すると、レースが終わる頃に換金所へ向かった。





駅。
誠は切符を買うと、電車に乗った。

「助かった…」

右手に持つ袋の中には、現金で100万円が入っている。

「危なかったわー…もうちょっとで、悲惨やった…」

誠は電車を下りると、麗菜の居る所へと歩きだした。

「麗菜…待っとけよ」

辺りは、すっかり夕方になっていた。駅から少し歩いた、そのときだった。後方から、チンピラが誠の前に回り、道を塞いだ。

「え?」

すぐに、右に避けようとする。しかしチンピラも誠と同じ方向へ動き、行く手を阻む。

「ちょっと…なんですか?」

誠が聞いた。気づくと、誠の背後にも二人、チンピラがいるのがわかった。

「兄ちゃん。さっき、競馬でえらい勝っとったやんけ」

「え……」

「その金、ちょっと貸してくれへんか?」

誠を囲み、ニヤニヤと笑うチンピラ。


……カツアゲか……こんなときに……