「とりあえず、どうしたらええんや?」

そのとき、柱の周りに小さなテーブルのようなものがあるのがわかる。

「何や、あれ…」

その上には、紙が何十枚も重ねて置いてあった。その横には、鉛筆。おそらく、これで券を買うのだろう……

「よし…」

誠は紙と鉛筆を取ると、早速書くことにした。紙には、第何レース、そして単勝、複勝、馬連……いくら賭けるかなどを指定できる、マークシート方式になっていた。

「うーん…」

とりあえず、はっきり言ってあまり意味がわからない。

「聞いてみるか…」

誠は、近くのおじいさんに聞くことにした。

「あの、すいません。競馬、初めてなんやけど、よくわからないんです」

おじいさんにそう言うと、親切に教えてくれた。

「あんた、軍資金は?」

おじいさんが聞く。

「100円。大穴狙いなんやけど」

「えぇー100円じゃ、話にならんで」

「ええんです。タダの遊びやし」

とりあえず、おじいさんにはそう答える誠。

「じゃあ、これやるわ」

と、おじいさんは一枚の紙切れを誠に渡した。

「…何ですか、これ?」

「オッズ表や」

「オッズ…表?」

「数字がぎょーさん書いてるやろ?」

「うん」

「それは、倍率や。当たったら、返ってくるお金。おっちゃんはもう今日は帰るから、それあげるわ」

「あ、ありがとうございます」

誠は、そのオッズ表に目を凝らした。そのとき、一つの数字に目がいく。