キッチンに向かった誠は、秋子がいないことを確認すると、麗菜から受け取った皿をサッと洗い、食器棚に入れた。

「おかえり」

そのとき、秋子がそう言って二階から降りてくる。

「あんた…どこ、行ってたんや?」

「え?」

秋子の言葉に、ドキリとする誠。

「麗菜のとこやけど…なんで?」

「今、麗菜君のお母さんから電話あったんや」

秋子のその言葉に、嫌な予感がする誠。

「…え?なんで?」

「麗菜君、今朝から行方不明らいしねん。あんた、麗菜君がおるとこ知ってるんか?」

「え…」

ドキドキする誠。

「どうなん?知ってるん?麗菜君のお母さん、心配してるんや」

「いや…」

「あんた、麗菜君のとこ行くって言うたやんな?」

「え?」

しどろもどろになる誠。

「あんた…ホンマは、どこ行ってたんや?」

「あーごめん、間違い、間違い!麗菜ちゃうわ、田島やった!言い間違いや」

「……」

その無理矢理な誠の返事を聞いて、腑に落ちない様子の秋子。

「あんた…」

「ホンマに言い間違いやって!それより麗菜、行方不明なん?」

しらじらしく聞く誠。

「そうらしいわ」

「そう言えば、あいつ今日学校にも来てへんかったなぁ」

棒読みで言う誠。

「ま、あいつの事や。きっと、すぐ帰るんちゃうか?」