絶対日記『REWRITE』

しかし、田島は電話に出なかった。

「……バイト中か?」

誠は、今度は田島の家に電話をかけた。


プルルルル、プルルルル……

ガチャッ

「もしもし?」

それは、田島の声ではなかった。おそらく、父の声だろう。

「あ、もしもし。南原ですけど、田島君、いてますか?」

誠が聞く。

「あー。あの子、さっき出発したんやけど」

「どこ行ったんですか?」

「学校休んで友達と、旅行行くそうや。携帯電話、忘れて行きよってな」

その言葉に、肩を落とす誠。

「そうですか…わかりました」

誠は電話を切ると、悩んだ。


……お母さんに、借りるか……いや、お母さんには、ちょっとの心配もしてほしくない。どうしよう……


誠は再び、携帯電話の番号を押した。


プルルルル、プルルルル……

ガチャッ

「もしもし?」

春男の声だ。誠は、春男の携帯に電話をかけた。

「お父さん?ちょっと、相談があるんやけど……」

「誠か?何や、相談って?」

「お父さん、今日何時に帰ってくる?」

「電話やったらあかんのか?」

「うん」

「お父さん、今晩はちょっと帰れそうにないわ。その相談、明日でもええか?」

「え…そうなん?わかった……」